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更新日:2017年3月24日

損害保険トータルプランナーと有識者の座談会を開催          ~京都産業大学大学院教授・そんぽADRセンター紛争解決委員・坂東俊矢氏を招いて~

一般社団法人 日本損害保険協会(会長:北沢 利文)では、2017年2月10日(金)に、京都産業大学

大学院教授・そんぽADRセンター紛争解決委員・坂東俊矢氏と当協会が認定する募集人資格の

最高峰である「損害保険トータルプランナー」の方を招き、座談会を開催しました。  

当日は、主に「損害保険代理店・募集人のイメージ・理想像」、「トラブル事例を踏まえた保険募集時の

留意点」、「『損害保険トータルプランナー』への期待や今後の役割」の3点をテーマに意見交換を行い

ました。 

 

当日の様子を座談会録にまとめましたので、ぜひご覧ください。

 

◆出席者

 京都産業大学大学院教授・そんぽADRセンター紛争解決委員

  坂東 俊矢 氏

 損害保険トータルプランナー
  株式会社iPlan 代表取締役社長 エグゼクティブコンサルタント

  橘 智 氏

 (以下、敬称略)

 損保協会 募集・研修サービス部長

  小峯 雅也

◆進行役

 損保協会 募集・研修サービス部企画業務グループリーダー

  柴田 文明

座談会録

~損害保険代理店・募集人のイメージ・理想像について~ 

―柴田  はじめに、損害保険代理店・募集人のイメージ・理想像などについて、そんぽADRセンター

       紛争解決委員としてのご経験を踏まえ、坂東さんからお話ください。

坂東    そんぽADRセンターで紛争解決に携わる中で、損害保険代理店・募集人が果たしている

       役割の大きさを感じています。坂東氏

       代理店は、保険会社を代理して保険契約を締結する権限

       を持っています。

       その中で、募集人にはお客さまの多様なニーズを把握し、

       保険契約に組み込んでいくという重要な役割があり、募集人

       がお客さまと対面し、損害保険について説明することの意味

       はとても大きいと思います。

       昨年5月には改正保険業法が施行され、保険募集の基本的

       なルールとして、意向把握義務が導入されました。

       以前から多くの募集人が取り組んでいた内容だと思いますが、法律上の義務として定められた

       ことで、改めてその重要性が意識されていると思います。

       一方、私が紛争解決に携わってきた事例の中には、お客さまの意向を適切に把握できなかった

       ためにトラブルとなった事例があることも事実です。

       保険募集の場面でトラブルに発展する最大の理由は、お客さまと募集人の認識に齟齬が

       生じてしまうことです。

       多様な保険商品が存在する中で、お客さまが自身のニーズを正確に把握し、募集人に伝える

       のは難しいことです。

       そのため、いかに募集人がお客さまの意向を適切に把握し、個々のお客さまに適した提案が

       できるかが重要であり、そこには募集人としての経験・スキルが求められます。

       募集人は非常に専門的な仕事であり、その専門性を活かして、社会的に大きな役割を果たして

       いると感じています。

―柴田  損害保険代理店・募集人の果たす役割は大きいということですね。橘さん、いかがでしょうか。

     当社では、保険募集の場面において、お客さまがどの保険に入りたいかではなく、お客さまが

       何を求めているのかをお伺いすることを重視しています。

       最初から保険商品の説明をしても、お客さまにとって、自身の抱えるリスクや不安を想像し、

       当該保険商品に当てはめて自身のリスクをカバーできるか考えることは非常に難しいことです。

       まずはお客さまとの会話を通して、お客さまが保険を必要とする背景や、お客さま自身が気づ

       いていないリスクを把握することが、最適な保険提案を行ううえで、重要だと考えます。

―柴田  お客さま自身も気づいていないリスクを把握し、適切な保険提案ができる損害保険代理店・

       募集人が、理想像になるように思います。小峯さん、いかがでしょうか。

小峯    お二人がおっしゃる通り、保険募集の際に、お客さまの抱く損害保険商品に期待する内容と、

       実際に保険でカバーされる内容の差を埋めることが重要であり、お客さまの意向を把握し、

       最適な保険提案を行うことができる損害保険代理店・募集人の存在が求められていると

       思います。

       募集人は所定の試験に合格し、資格を取得した方々であること、その中でも「損害保険トー

       タルプランナー」は、更なるスキルアップを目指して努力された方々であることを周知し、社会

       的なステータスの向上を図っていきたいと考えています。

       また、「損害保険トータルプランナー」は損保協会が認定する募集人資格の最高峰ですので、

       さらに多くの募集人に認定取得を目指していただきたいと考えています。

       近年、お客さまの中で保険はしっかりとした説明を受けてから加入するものという意識が広がっ

       てきていると感じており、今後、心のかよったコンサルティングができる保険募集のプロフェッ

       ショナルが一層求められていくものと思います。

       また、改正保険業法の内容や、フィデューシャリー・デューティーの考え方が示すとおり、金融

       行政からもそのような代理店・募集人が求められていると感じています。

       今後は、AI等の発展により保険募集の現場も大きく変化することが想定されますが、お客さまの

       対面販売に対するニーズは一定存続すると思いますので、募集人の方々には、お客さまの期待

       に応え続けていただきたいと思います。

       さらに、地域のリスクマネージャーとしての役割にも期待しています。

       災害時はもちろん、平時から損害保険の普及や防災・減災に関する情報提供を行っていただき、

       地域に根ざした代理店となっていただきたいと思います。 

座談会

座談会の様子

~トラブル事例を踏まえた保険募集時の留意点について~

―柴田  次に、坂東さんから、トラブル事例を踏まえた保険募集時の留意点について、お話ください。

坂東    理想的なのは保険募集におけるトラブルが無くなることですが、現実的には難しいことです。

       しかし、公表されたトラブル事例から学べることは多いと思っています。

       本日は、意向把握の重要性を感じた事例を紹介します。

       あるお客さまが保険期間中に車を買い替えたので代理店に連絡したところ、車両入替では

       なく、保険の切替を提案されました。

       お客さまは以前の契約内容と変わらない補償内容にすることを条件に、切替を認めました。

       切替後、お客さまの元に保険証券が届いたので内容を確認したところ、以前の契約内容とは

       異なり、「契約車両に搭乗中のみ補償する特約」が付帯していました。

       実は、このお客さまは通勤時に自転車を利用しており、自転車事故の補償の有無は重要な

       要素でした。

       保険証券の内容を疑問に思ったお客さまは、代理店に対して、自転車事故の補償の有無を

       電話で確認しました。

       その際、お客さまの話では、自転車事故も補償されると説明されたということでした。

       その後、お客さまは自転車で通勤中に事故に遭い、後遺症を伴う傷害を負ったものの、補償

       が適用されず、トラブルになりました。

       代理店側の主張では、お客さまに対して、限定特約を付帯することで保険料が安く抑えられる

       と説明のうえ、お客さまにも納得していただいており、電話で問い合わせがあった際も自転車

       事故の補償については聞かれていないということでした。

       結局、本件は事実の特定ができず、ADRでは結論を出せませんでした。

       しかし、そもそも最初の時点で切替ではなく車両入替で対応していれば問題なかったように思い

       ますし、そうでなくとも、代理店が限定特約について丁寧な説明をし、お客さまの以前と同じ補償

       内容であれば切替を認めるというお客さまの言葉に潜む自転車事故の補償へのニーズを適切

       に把握していれば、防げたトラブルだったように思います。

       自動車保険は、お客さまの家族構成や自動車の用途によってニーズが大きく異なります。

       保険募集の際に、個々のお客さまのニーズを把握することが重要であるということを改めて

       認識した事例でした。

     実は当社でも、お客さまに契約内容を理解していただくために、わかりやすい説明を行うことの

       重要性を再認識した事例があります。

       別の代理店で自動車保険に加入していたお客さまが、車の価値に対して保険金額が低く設定

       された状態になっていたので、当社の募集人が保険の見直しを提案しました。

       提案内容は中途更改であり、お客さまにとって保険料の面でデメリットがあるものでした。

       当社の募集人は、その旨をお伝えしていたのですが、後日、お客さまから「損をするなら中途

       更改について考えさせてほしい」というご連絡がありました。

       募集人は保険募集時に「デメリット」という言葉を使用して説明していたのですが、「損」という

       直接的な言葉は用いておらず、募集人とお客さまの認識に齟齬が生じていたのです。

       重要事項やお客さまにとって不利益となる事項を説明したつもりでも、お客さまが実際に自分に

       とってどのようなデメリット等が発生するのかを具体的にイメージできる説明ができないと

       いけません。

       保険募集の際、何を説明するかだけではなく、どのような言葉で説明するのかも重要であると

       考えさせられました。

―柴田  一方でお客さまから喜ばれた事例はありますか。

     当社では、実際にお客さまの元を訪ね、お住まいや暮らしぶりを見てくることを重視しています。

       そうすることで、お客さまの新たなリスクを発見することができる場合があります。

       例えば、お客さまのお住まいに自転車があれば、自転車に関するリスクをお伝えし、当該リスク

       をカバーできる保険提案を行うことができます。

       それまで意識したことのなかったリスクを知り、対応することができるので、お客さまから喜んで

       いただけます。

       具体例として、当社が家財保険を契約しているお客さまのケースを紹介します。

       お客さまを訪問し、お話しする中で、建物保険の状況についてお伺いしました。

       保険証券を確認したところ、借家にお住まいですが、借家人賠償責任保険を付帯していなかった

       ことが判明しました。橘氏

       お客さまは、失火した場合に家主に対して賠償責任が

       発生することや、そのようなリスクを自身が抱えている

       ことを知らず、また、保険でカバーできることも知りま

       せんでした。

       お客さまに対して借家人賠償責任保険付きの建物保険

       を提案し、とても喜んでいただけました。

坂東    実際にお客さまを訪ねることは、とても重要だと思います。

       例えば、住宅の一部で理髪店を営んでいる物件で、落雷による損害が発生し、保険金を請求

       したところ、住宅に占める理髪店の営業面積の関係で、保険金が支払われなかったケース

       があります。

       このケースは、保険募集時に募集人が現場を見ていれば、防げたように思います。

       募集人にとっては大変かもしれませんが、実際に現場に赴き、お客さまと会話することはとても

       重要だと思います。

~「損害保険トータルプランナー」への期待や今後の役割について~

―柴田  これまでのお話を踏まえ、坂東さん、小峯さんが「損害保険トータルプランナー」に期待する

       ことは何でしょうか。

坂東    お客さま視点で保険提案できるプロフェショナルとして、「損害保険トータルプランナー」がより

       認知され、評価されることを期待しています。

       損害保険は事故が起きて初めて保険金の支払いを受けられる商品です。

       保険契約時には、お客さまは保険料を支払うのみで、有形の商品や、保険金支払い等の

       サービスを受けることはできません。

       だからこそ、保険契約時にお客さまが抱く保険商品への期待と、実際に受けられるサービスに

       齟齬が生じることのないよう、保険契約の時点で、お客さまが実際に事故に遭遇した際の状況を

       イメージし、保険商品について理解・納得することが重要です。

       募集人には、分かりやすく、適切な説明ができるプロフェッショナルとしての能力が求められて

       います。

       現在、全国約200万人の損害保険募集人が存在する中で、「損害保険トータルプランナー」の

       認定取得者は約1万人です。

       ぜひ、自信と誇りを持って、これからも頑張っていただきたいと思います。

小峯    お客さまにとって、代理店・募集人は、直接会って保険について話すことができる、最も身近な小峯部長

       存在です。

       その中でも「損害保険トータルプランナー」の皆さまは、

       損保協会が認定する最高峰の募集人資格を取得した

       方々です。

       お客さまから、この人なら安心して任せられる、この人に

       相談したいと思ってもらえる存在となり、心のかよったコン

       サルティングをしていただきたいと思います。

       そして、募集人としての誇りを持って、一層の高みを目指し、

       全国約200万人の募集人の範となっていただくことを期待しています。

       また、「損害保険トータルプランナー」の認定を取得していない周囲の募集人の方にも、ぜひ

       挑戦を呼びかけていただきたいと思います。

―柴田  お二人の話を受け、今後「損害保険トータルプランナー」として果たしていきたい役割について、

       橘さん、お話ください。

     近年、「保険のプロ」という言葉を耳にします。

       一方で、保険商品の説明をすることができる募集人は多いですが、お客さまの隠れたリスクを

       洗い出し、適切な保険提案をできるプロフェッショナルはまだ少ないように感じます。

       「損害保険トータルプランナー」の認定を取得する課程では、お客さまのニーズに応じたコン

       サルティングを行うための知識・スキルを修得し、プロフェッショナルを目指すにあたり、多くの

       気付きが得られました。

       また、そこで得た学びや気付きは、後輩達を教育・指導する際にも役立ちます。

       改正保険業法で代理店の体制整備義務が導入され、募集人に対する適切な教育が求められ

       ています。

       私も自社の募集人に対する教育を通して、次の世代の募集人を育てていくことの重要性を

       感じており、「損害保険トータルプランナー」として学んだことを活かし、取り組んでいきたいと

       思っています。

       また、「損害保険トータルプランナー」の認定を取得する課程で学んだ内容が、お客さま対応柴田グループリーダー

       のみならず、後輩達の育成にも役立つということを

       知らない方もいると思いますので、そのような方に対して、

       「損害保険トータルプランナー」認定取得の良さを伝えて

       いきたいと思います。

―柴田  今後も、「損害保険トータルプランナー」としてご活躍

       いただき、他の募集人をリードしていただくことを期待

       しています。

       本日はありがとうございました。